★mission8:地球を防衛せよ?★

「で、ここからが本題なんだ。」
セウルはそう言うと二人を真剣な目で見た。
「本部は、この世界をエリアごと分けて、各エリアに派遣員派遣する事にしたんだ。
俺は本部からの異世界派遣員の日本支部担当。つまり、この地域に潜伏しているダバの捕獲部長だ。」
「へぇ。だから日本支部部長か…。」
セウルの名詞を思い出し、徹はそう言葉を出す。そういうことというと頷くセウル。
その様子におぉ〜と言葉を漏らしつつ、春歌はふと首をかしげた。
「でも、部長って、セウルさんしかメンバーいないじゃないんですか?そんな肩書き作らなくても…。」
・・確かに、自分しかいないのに部長とか呼んでいる…それってかなりむなしい。
それならそんな肩書き無いほうがましな気がしてくる。
と、まっていましたというようにセウルは目を輝かせた。
「さすが!物分かりがいいね!そう!そこなんだよ!」
「…??は??」
まるで、お昼のワイドショーかテレフォンショッピング並みのオーバーリアクションのセウル。
二人が付いてきていないのもお構いなしで嬉しそうに言葉を続けた。

++++++++++++++++++++++

「ダバが精神生物だと話しただろ?」
「…?あぁ。」
確かに、徹も春歌もそう聞いた。
「だからさ、専用の術でも施さない限り普通の環境だったら、増殖するんだよ。」
「…それってつまり…。」
「そう。ダバの数は増殖する。そして、地球に存在する全てのダバをいくら俺たちでも防ぎ切れはしないし、
 このままだと時間ばかりがかかってとんでもないことになる。・・・そこで本部はある計画を考えたんだ。」
ジャ〜ン!
もし、これがマンガであるなら今の彼の後ろの背景にはジャーンと言う言葉がぴったりだろう。
セウルは高らかに言ったのだ。
「地球人補助計画を!」
「補助計画?」
不思議そうな兄妹にセウルは頷き、高らかに説明を始める。
「そう。俺たちは調査中に、地球人にも能力波をもっている人間がいることを知った。
 で、能力波をもっている人間に俺達のサポートをしてもらう事を考えたんだ。
 俺たちと姿が似てるし、友好に接してくれそうだからさ。だから、本部は能力波の力を持ち、
 俺たちに協力するエリア内に所属するの人間を…最低でも4人程度は見つける事を各部長に命じた。
 そして、俺はついに見つけた。しかも二人も…。」
セウルはそう言って二人を見てうれしそうに笑う。なんだか嫌な予感がする二人。
「俺と一緒に戦ってくだ…。」
「断る。」

 ・・・・・・

それは一瞬だった。即座にズバッと徹は言い切る。それぞまさに一刀両断。
「何で、俺というか春歌がそんな危ないことしなくちゃいけないんだ。
 俺は俺たち…特に春歌が危険な目にあう事はしない主義だ。」
「お兄ちゃん・・。」
徹は…春歌という所にやたらと力を込めている。絶対にシスコンだ。
「そうか…って、ちょっとまってくれよ!」
納得しそうになったセウルは慌てて二人に言う。
「能力波の使える奴じゃないと、ダバは捕らえられないんだ。」
「大丈夫だ。俺はそんな危険なやつを捕獲するようなことはしないし、春歌には絶対させない。」
「ダバ関連の事件だって最近はこの世界で起きているんだ。
 俺たちがダバの事は伏せているから表には出ないことも多いけれど、
 確実にこの世界はダバに侵され始めている。それに・・・。」
「それに・・?どうしたんですか?できれば続きを聞かせてくれませんか?」
セウルが言葉を続けようとして一瞬ためらった顔をしたのが気になった。
だが、それは聴かなくてはいけないような気がして春歌はセウルにやさしく問いかける。
「・・・。それに、君たち能力波をもつ人間は俺たちが保護していないと危険なんだ。
 ダバは操るのに能力波のあるものから選ぶ習性がある。
 能力波が高いほうが操るときの威力も大きいからさ。さっききたダバだって君たちを狙っていたんだ。」
「そうなのか!?」
それは春歌が危険だ。徹は即座に反応する。
「でも、俺、そんなお前にされるまでそんな変な力使えなかったぞ。」
と、ふと疑問を問う徹。その言葉にセウルは答える。
「それは、君たちが時空のひずみの影響を受けたからだと思う。
 多分だけど、ダバが一気にこっちの世界にきたのと同時に、こっちの力の影響を受ける人間が出たんだと思う。
 そういう人間がいるらしいって聞いているし…。でもまさか、本当にいて、遭遇するとは。」
セウルは二人に頭を下げた。
「お願いだ。いっしょにやってくれないか?君たちは俺達の世界の力を受けているからダバに気づかれやすい。
 今のままじゃ、いつ取り付かれるかわからないんだ。」
「そうは言われても・・・。手伝うとなると春歌がきけ・・・」
「セウルさん…。私、やります。」
「春歌!?」
頭を下げるセウルに即座に凛と答える春歌。徹はその思いがけない言葉に戸惑った。
「おい!わかっているのか!危険なんだぞ。」
「ううん。私やる!私の力が役に立つなら、私、人の役に立ちたい。人を守ってあげたい!」
「春歌……。」
春歌の健気な言葉を聞き、徹は立派になってとつぶやきセウルのほうを見た。
「おい、セウル、俺たちお前に協力することにするぞ。」
「お兄ちゃん…。」
「本当か!?」
徹の言葉に思いっきり嬉しそうな顔をするセウル。
「あぁ。俺、仕事のときは無理だけど、それでいいならな。
 なんかほっておくほうが危険らしいし、大事な妹の決意を無駄にはしたくないからな。」
セウルにそういい力強く頷くと、徹は春歌を見て優しく微笑んだ。
ちなみに、彼の心の中では「それに、ともかく春歌を守らなきゃな。」などと考えているのは当然のことだ。
「やったぁ!」
セウルはうれしそうに声をあげた。






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