★mission3:頭痛を防衛せよ★

彼は改まったように二人を見た。
「と、言うわけで、仕事を手伝ってほしいんだ。」
そんな彼の唐突な発言に春歌はきょとんとし、たただ彼を見た。
「だぁ〜かぁ〜らぁ〜、一体どうなっているのか説明しろよ!」
その横で、徹は荒々しい声をあげた。

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「わっ。びっくりした。どうしたんだ?そんな大声で。」
「お前な…。」
セウルの反応に徹はため息をつくと、ようやく冷静になったようで言葉を続けた。
「仕事を手伝えとかいわれても、俺達はお前が何者で、何がなんなのかわからないんだよ。
きちんとそこから説明してくれ。」
「あぁ。それもそうだな。」
頭が痛い・・・とでも言うようにこめかみに手を当てる徹。
徹の言葉にセウルは当然だなというように頷いた。
「じゃぁ、説明する。俺は……。」
セウルがそう言いかけたときだった。

  ピー

急に、セウルのポケットからそんな音がなり、彼が腕につけていた背広に
不似合いなデジタル時計のようなものが光りだす。
「やっぱり来たか……。」
セウルはそう呟くと鋭く目を周囲に光らせた。と、

        パリ―ン!

ベランダの方から窓が急に割れる音が聞こえる。
セウルは急いで音の方へ向かう。
「な、何だ!?」
驚き、徹と春歌はあわててベランダへと向かった。

ベランダに着き、二人は驚いた。
セウルと向かい合っているのは普通の中学生くらいの男の子だった。
いや、普通とはいえないのかもしれない。なんせ、マンションの高い階のベランダから現れたのだ。
そして、見た目は普通そうなのにどこか危険なオーラを放っていた。
そのオーラはキレタとか、人がかわったとかいう状態に見え、
どこか近づけられなかった。
「・・・・・・。」
「・・・・・・。」
遠巻きに見る先のセウルと少年はお互いに黙って相手を見つめている。
相手の出方を見る。
事態は緊迫した雰囲気を持っていた。
それはセウルのさっきまでの明るさとうって変わったセウルの真剣な表情からも分かった。

しばらく向かい合い、先手をきったのはセウルだった。
「アフレナ=シーラ=セウル!」
セウルが右手を掲げ、そう叫んだとたんだった。
きゅうに彼の右手の中に光が現れ、いつの間にか彼の右手には銃が握り締められていた。
「!?」
あまりの事に驚く二人。
それは種も仕掛けも全くわからないまるで魔法のような出来事だった。
彼はその銃口を少年へと向けた。



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