★mission21:この高校を防衛せよ★

校舎裏。少年は少女を待っていた
校舎裏の木が風にゆられ音を立てる。
その音を聞き少年は木を見つつつぶやく。
「…何かがおかしい。」

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「一体、どうしたんですか?」
スーツのまま教室に突然やってきたセウルを、
人目のつかないところに移動させ、春歌はセウルに声をかける。
「た、たいへんなんだ…」
セウルはそう言っていつもつけているデジタル時計を見せる。
それは、セウルの会社のダバ探査装置。
セウルに促され、装置を見た春歌は目を見張った。
「・・・!?こ、これは…。」

「先輩、お待たせしてすみません。」
校舎裏にいた時宮聖は、声をかけられたほうを見る。
「あ。さっきの…。」
それは昼休み、聖にこの場所へ来るように言った少女。
「来てくれたんですね。」
聖を見て少女は嬉しそうな顔をする。そしてにこりと微笑む。
「よかったぁ〜。」
「…?」
その笑顔を見て聖は思わず構える
「…先輩??」
「・・・・・・…昼の子と違う?」
近づく少女と同じ距離だけ後ろに下がりながら、聖はぽつりとつぶやいた。
姿は同じ。だが感じる違和感。
(だけど、あのへんな力とはまた違う…?)
どういうことなんだと思いつつ聖は少女を見つめる。
「先輩・・・?」
呼びかけに対し、ただ黙って少女を見つめる。
沈黙が2人を包む。
「やはり、流石ですね。」
沈黙を破ったのは少女だ。…いや、少女の振りをした何かだ。
先ほどまでの乙女な少女はだんだんと表情が険しくなり、声色も低くなる。
「…このまま近づいてお前に転移してやろうと思ったのに。」
そう言い少女だったものは聖を見る。
その瞳には何も映っていない。聖は構える。
(なにかに操られているのか?くっ…正体が何かつかめない。)

一方、その頃。
ピー!!!
けたたましい音を頼りにセウルと春歌は校内を走っていた。
「早く間に合わなきゃ…」
「ど、どういう事なんですか。さっきの真っ赤な光!」
走りながらセウルに春歌は質問する。
さっき見たセウルの腕時計に映っていたもの。
それは大きく光るオレンジ色の光だった
「ダバがいる証拠さ。それもあの光の色…力をもっている何かがいる。」
セウルは焦りながらも春歌の質問に答える。
「早く誰かが接触する前に捕獲しないと…」

(くっ…どうすれば…。)
幼馴染が一生懸命校内を走っている時、聖は困惑していた。
目の前には効果がなかった札が散らばる。
「どうした。力を持つものよ。」
少女の姿をしたものはにやりと笑い聖を見る。
(札が効かない…。霊の類ではないのか…。)
操られている少女は普通の少女なので易々と傷つけることができない。
正体不明の敵を前に聖はこれからどうすればいいのかわからず、
漠然とした不安を感じた。その時だ。
「デリット!」
男の声と共に鋭い光の塊が聖の後ろから放たれた。
「なっ…春歌!?」
あわてて後ろを見るとそこにいるのは自分の幼馴染と彼女の知り合いの男だった。
「聖!大丈夫?」
「あ、あぁ…。」
かけよる春歌に生返事をかえす聖。
「間に合ったか…。」
そんな2人の横でセウルはその方向を睨んだままつぶやいた。
セウルの視線の方向を見る聖。そこにあったのは
「な…。」
少女に取り付いていた正体だと思われるもの。

大きなどす黒い塊だった。


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