★mission20:彼のプライバシーを防衛せよ★
少年は彼女と一緒だった。
幼い頃からを知っていた。
だからこそ彼は些細な変化につぶやいたのだ。
「あいつ、最近新しい空気をまとっている。」
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「?いいけど…?」
まっすぐに春歌を見て言う聖に春歌はそう言葉を返す。
「めずらしいね。聖、引っ越してからは私の家、行きたがらなかったのに。」
そう首をかしげる春歌を気にせず、聖は春歌に聞く。
「あ。そうだ!徹さんは?」
「お仕事で夜に帰ってくるけど…?」
春歌の言葉にそうかと少し顔の表情がこわばりつつ言う聖。
…確かにあのシスコン気味の男に会いたくはないかもしれない。
「そうか。んで、さっきの奴は?」
「セウルさん?セウルさんは家にいると思うよ。」
「わかった。じゃぁ、放課後な。」
不思議そうな春歌にそう答えると聖は早々と教室へと向かっていった。
「聖、どうしたのかな…?」
(まさか、セウルさんのことばれたかな?)
春歌はそう思い、少し不安になる。
聖はイジワルになってはいるが根は優しい少年である事を春歌は知っている。
(もし、ダバの事がばれたら巻き込まれないかな?)
春歌は聖の背中を少し不安そうに見つめた。
地球を守る部長の秘密を守ったり、幼馴染を心配したり、春歌は思いをめぐらせる。
だから、知らない。
そんな、ついに聖が春歌の家に遊びに行く事が周囲に知れ渡っていて、
春歌に注目が集まっているなんて言う事には。
やはり高校生。青春は80%汗と涙とコイバナで出来ているのだ。
・・・ちなみに作者の勝手な持論である。
そして、その日の昼休憩。自分のクラス、2年B組にて時宮 聖は友人と昼食をとる。
「そういえば聖、お前今日藍瀬さんの家に行くんだって?」
「めずらしく積極的じゃん。」
「なっ、何で知っているんだよ!」
春歌と自分の間での約束を知っている友人達に驚く聖。
思わず声が大きくなる。
「俺らが知らないわけないじゃん。」
「なんでだよ!毎回!」
なんで毎回友人達が知っているのかわからないというように聖は言う。
彼は周囲にばれているのに気づいていないのだろうか。
「まぁまぁ・・・。にしても二人っきりで下校かぁ。」
「小学生並のお前がようやく中学生になるな」
「なんだよそれ!」
友人のようしゃないからかいの言葉に聖は文句をいい、そしてふと気づく。
(…まてよ。よく考えれば待ち合わせて2人で出かけるなんて…何年ぶりだろう。)
素直になれない自分の性格と、春歌の兄により、そんな記憶が少ない聖。
「うわ〜。」
よく考えれば考えるほどに照れくさくなっていき、自然と赤くなってくる顔。
「赤い!」
「赤いな!」
「うるせぇ!」
ガラッ
容赦ない友人達のつっこみにそう答え、聖は火照った顔を洗うために教室を出る。と、
「きゃっ!」
「うわっ!」
ドアを開けたとたんの声。そこにいるのは1人の女の子。
「あっ。時宮先輩…。」
彼女は聖に対し嬉しそうに声をあげた後、顔を赤くして続けた。
「あの…。時宮先輩にちょっとお話があるんです。
すぐ終わるので放課後、校舎裏に来てもらえませんか?」
「話?」
わけがわからないという顔をする聖。
「お、お願いします。」
「ちょっと!」
タタタタ・・・
女の子は聖の言葉も聞こえないのかあわてて走り去っていった。
放課後、どうするべきだろうか…。
「ちょっと、いってみるか。」
春歌は掃除当番だから少し待ってほしいといっていた。
少女はすぐ終わるといっていた。
さすがに掃除当番中に会話は終わるだろうと考え、聖は彼女が走り去った方向を見てつぶやいた。
・・・ちなみに、この後友人に
この少女についてどうするのか、からかわれたのは言うまでもない
そして、放課後。
春歌に終わったら携帯で連絡してほしいと伝え、聖は教室を出る。
「…なんか、きたか?」
教室を出る瞬間。誰に言うともなくそうつぶやいて。
そして、その後だった。
「春歌ちゃん!」
春歌はそう呼ばれて声の方向を見て、驚きの声を出す。
「セウルさん…!?」
そこにいたのは、慌てているセウルだった。
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