★mission2:家のご飯を防衛せよ★

藍瀬徹、春歌兄妹はただただ目の前の少年を見た。
「うまいな〜。」
彼らの見つめる先にいる少年は嬉しそうに春歌が急いで作った料理の数々を口へと運ぶ。
藍瀬家のいつものようなのどやかな日曜。それは今、この男の手によって壊されていた。

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「っと、ご馳走様でした。」
少年はそう言うと深々と頭を下げた。
「いえ。お粗末さまでした。」
春歌はそう言って笑う。
「で、お前は一体何者なんだ?家出か?東京のど真ん中で行き倒れになっているなんて……。」
徹はそうさっき自分の家の前で行き倒れになっていた少年を見る。
少年の外見は茶色い髪によれよれの紺色の背広。歳は顔立ちからして、
徹より少し下、二十歳から18歳くらいだと思われる。
そんなどことなく会社員の雰囲気をかもし出しているこの男が何故、自分の家の前で倒れていたのか……。
このマンションのセキュリティーは結構かたいし、怪しい人物がいたら即警備会社に連絡が行く。
しかも、ここは7階なのだ。
(さっきはとっさに入れてしまったが、怪しい奴だったら即放り出す……)
徹の目はそう物語っていた。

・・・・・・
そんな徹の言葉を聞き少年はふと一瞬固まった。が、すぐに慌てて二人に話しだす。
「あっ、やばい!言ってなかったっけ。俺、こういうものです。」
そう言うと慌てて背広のポケットに手を突っ込み、中からだした物を二人に渡した。
その中から取り出されたものを二人は見た。
それは、きれいな青い色の名刺であり、こうかかれていた。

      『サージェント=パース特別区 
       日本支部 部長 セウル=アーレス
       所属:捕獲部B隊       』

・・・・・・??????
「サージェント=パース・・・?」
そこにかかれた言葉に2人はきょとんとした。
一体何なのだそれは。
日本支部という事はほかにも支部があるのか?
しかも捕獲隊という事は何かを捕獲する機関のようだ・・・がなにを?
しかも名前が明らかに日本国籍ではないことからして彼は海外の人間らしい……。
「そう。サージェント=パース。」
2人の不思議そうな顔を見ても少年、セウル=アーレスは当然の様に頷く。
「詳しく説明すると……。」
セウルはそう言って背広のポケットから何かを取り出そうとしたが、
すぐに黙りこんだ。
「……?どうかしたのか?」
徹は不思議そうにセウルに聞いてみた。と、
「やっば〜!!」
急に大声を出すセウル。

「……?」
ただ唖然としている兄妹。
そんな二人を気にせずセウルは一人喋りだす。
「あ〜、会社に忘れてきたんだな。
 くっそ〜。隊長にばれたらなんって言われるか分からないよな〜。
 あ〜!給料カットかもしれない!!やばい!」

「……おい、何なんだ。」
1人ぶつぶつ言いだすセウルという男につっこむ徹。
徹のそんな声もセウルには通用していない。
現在、彼は確実に一人の世界へ入っている。
「そうだ!うん!このさい早く業績あげるしかないよな!!」
「…おい。」
聴いていないセウルにもう呆れるしかない。
そんな二人を気にせず、一人頷くセウルであった。


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