★mission19:上司の素性を防衛せよ★

少女と謎の男の様子を
彼はじっとながめていた。
彼は知らない。いや、集中していて気がついていない。
その彼をそれが眺めていることを。

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「ねぇ。あの人、だれ?かっこいい〜。」
セウルが去った後、春歌の友人はミーハーぶりを発揮している。
確かに、セウルは童顔ではあるが前章で鈴さんに70点を頂いている。
…ジャニーズ系のけっこうかっこいい顔をしているのだ。
「えと、お兄ちゃんのお友達のセウルさんだよ。」
年齢的なことを考えて編み出された設定を思い出しつつ、春歌はいう。
「留学生で、今は家に住んでいるの。」
「え!?春歌の家?…春斗さんと!?」
「う、うん…。」
春歌の説明を聞き、どこか興奮状態の友人。
な、なにか変な事いったかなと春歌は一生懸命考えてみる。
それに対しての友人の言葉により、何が彼女を興奮させたのかがわかった。
「イケメン2人も家にいるなんて春歌うらやましいな〜。」
…成程。
まぁ、高校生の女の子にしてみれば、
イケメン2人と一つ屋根の下などドラマかゲームか、漫画でしか見ないシチュエーション。
いわゆる、おいしいシチュエーションなのだ。
「そ、そうかな?」
そんな友人の言葉に春歌は首をかしげた。
確かにかっこいいとは思うがずっと一緒に暮らしていた兄。
そして、かっこいいのだろうが家でのんびり過ごしているセウル。
毎日のように繰り返されるぼけとつっこみ。
・・・確かに、そこまで羨ましくないかもしれない。

「おい、藍瀬。」
そんなやり取りをしていると、後ろから声をかけられる。
「?聖?」
それは、少し険しい目つきをした聖。
「どうかしたの?」
「さっきの奴、誰だよ。」
春歌にそうぶっきらぼうに聞く聖。
気になるのかなと解釈してあぁと言う春歌。
その横で、焼きもちかとくすりと笑う友人。
「お兄ちゃんのお友達。留学生で、今うちにすんでいるの。」
「うちに・・・?」
「どうしたの?」
単純明快に春歌は答える。
そして聖はその言葉に益々険しい目つきになった。
何かあったのかと首をかしげる春歌。
「最近、他に何かあったか?」
「へ・・?」
真剣に聞く聖に思わず声が漏れる。
「と、とくにないよ??」
心のそこではあったよなぁと思いつつ、答える春歌。
だからといって、さすがにダバ云々をこんなところで言っても信じてもらえないだろうし、
結局はそれもセウルにであってからの事だよななどと春休みを思い返す。
「そっか。わかった」
春歌の言葉に聖はそう呟くと春歌に言った。
「俺、今日お前の家に行っていい?」





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