★mission18:お弁当を防衛せよ★

朝の道場。目を閉じて、静寂の中の気を感じる。
「・・・はっ!」
パシッ!
音と共に自分への攻撃を目を閉じたまま手で防ぐ。
「見事。」
彼の祖父らしき人はそう一言言う。

朝の道場を後にしながら少年はつぶやく。
「最近調子がいいな。というか、よすぎて余計なものも見える・・・。」

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「いってきまぁ〜す!」
「おう!」
先ほど帰宅し、寝ている徹の部屋の前でいってきますとささやくと
春歌は玄関から外へとかけていく。
「学校かぁ〜。なつかしいなぁ。」
セウルはその後姿を見つつしみじみとした様子でつぶやいた。

桜の花も咲く4月。春歌の通う高校は新学期を迎える。
「おはよ〜。」
「あ〜。春歌おはよ。」
友人に声をかけ、いそいそとクラス変更の名簿を見る。
「3組かぁ。一緒のクラスだね。」
「うん。」

「ゲッ。お前もかよ。」
春歌達が喜ぶ横でそう嫌な声を発する少年一名。
「あっ、聖。おはよ。聖も同じクラス?」
聖と呼ばれた少年は黒い切れ長の目を春歌に向けると言う。
「あ〜あ、これからこいつと毎日顔を合わせるなんて、憂鬱でしかないな」
「ひっ、聖!」
春歌の呼びかけにもこたえず聖は背中を向けたまま校舎へと入っていく。
「もぉ〜。なんで、私にはそんな意地悪なんだろ。幼馴染なのに〜。」
「はは・・・。」
春歌の言葉に友人は苦笑した。
…なんせ、それは「好きな子だからこそ」の行動であり
周囲の誰もが知る時宮 聖(ときみやひじり)のいつもの行動だからだ。

そんな事を考えている時だった。
「よかった。間に合った。」
春歌の後ろで最近ではもうなじみになった声がする。
「あれ?セウルさん!?」
そこにいるのはテレビの見すぎで運動不足。息を切らすセウルの姿があった。
「ど、どうしたんですかっ!?」
思わぬ登場にびっくりする春歌。息を落ち着かせるセウル。
そして、2人を交互に見つつ不思議そうな彼女の友人。
クラス名簿の騒ぎでか、セウルの童顔のせいでか、
校門近くでの彼女達に気づく人はそういない。
「だって、春歌ちゃんお弁当忘れてったでしょ?だから。」
そう言って、セウルは弁当箱の入った袋をさしだす。
「大丈夫かなぁ。一応、よらないように気をつけたんだけど・・・。」
そんなことを言っている様子は正直、異世界人で地球を守る人物には見えない。
「あ。わざわざありがとうございます。」
「ご飯は生きる活力だしね。」
素直にお礼を言う春歌にセウルはにかっと笑顔を見せた。
そんな彼に周囲(というか、ある人物)がどの様な視線を送っているか知りもせず。





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