★mission12:彼の言い訳を防衛せよ★
「まさか、徹の言っていた留学生ってこの人?」
セウルの様子を気にもせず鈴花、いや、鈴はそう徹に聞く。
「あぁ。そうだが・・・。」
心の中では「一応」という文字がでつつも徹は鈴の質問にそう答えた。
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「はじめまして。セウル=アーレスです。」
立ち直りの早いのは単純な彼のいいところかもしれない。
彼の心の中では「美人とお近づきになろう」という言葉が膨らんでいるに違いない。
「へぇ〜。どこ出身なの?」
「・・・えっと、…イギャリスです。」
鈴の質問にセウルはそう答える。
「イギャリス?あぁ、イギリスのことね。」
そう納得する鈴。
日本語をたまに間違えるセウルにとって留学生設定は結構便利だ。
「イギリスなら、私何回か行った事あるけど、どこら辺にすんでいたの?」
(まずい・・・)
鈴の質問を聞いたとたんセウルは一瞬固まった。
イギリスという国があるのを知っていたのは友人が偶然イギリス担当になったからであって詳しくは知らない。
(くっそ〜。まじめに地球の講習受けていればよかった!)
・・・まじめに受けていたら知っていた地球の基礎知識をこのお馬鹿は聞いていなかった模様である。
ますます日本のというか、地球の未来が危ぶまれる。
「えっと、どこだっけ・・・。ウィーンとかいうとこ・・・。」
「そこはイギリスじゃないわよ。」
あわてて言うセウルに鈴の厳しい突込みが入る。
「違うか。ペキンと・・・。」
「もっと違う。」
「・・・・・・」
「なに、あんたあやしいんじゃない?」
(ま、まずい・・・)
鈴がセウルに詰め寄ろうとしたそのときだ。
ピー
けたたましい音が鳴り響く。
「な、何なのこの音・・・。」
「静かに!来た!」
何事かと驚く鈴にセウルはそう言い放ち、さっきまでとはうって変わった険しい目つきをしている。
「徹、鈴を連れて安全なところへ!」
「わかっている!」
そういって徹は不思議そうな鈴を抱きかかえて走り去る。
「ちょっと!徹!離しなさいよ!一体何が・・・!?」
わけが解らない鈴の目の先にはセウルへと向かってくる3名の男と、それに向かっていくセウルが映っていた。
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