★バレンタインSPその5★

バレンタインSPD
『彼と彼女とみんなとバレンタイン〜77。〜』


「博之、おはよう。」
加奈の優しい声で目が覚める。
そんな森博之のいつもの日常。
「おはよ。」
ベッドから出る博之の目のに入るちゃぶ台には
湯気の出る朝食が準備してあった。
「1人で作ったの?早く起こしてくれればよかったのに。」
「いいからいいから。」
加奈に言われるがままカップに口付けた。
広がる甘い香り
「ホットチョコ…?」
「あ。きちんとしたのは夜渡すね。」
慌ててそう付け足す加奈の様子を見て、博之はカレンダーを確認した。
テレビの中のアナウンサー達が今日のイベントについて話している。
「そっかぁ。今日はバレンタインか・・・。」
博之はポツリとつぶやいた。

◆+◆+◆+◆

ガチャ
「うぉっ…。」
朝、登校して開けた下駄箱に入っていたのは数々のチョコレート。
『羽住孝之様』なんてカードも添えてあるものもある。
先ほどの驚きの声の主。羽住孝之17歳。
「お〜、孝之今年も大量だねぇ〜。」
「本命いる宣言しているのにな。」
後ろから中学からの腐れ縁、
親友のリサとキョウが覗いてコメントする。
「ただ・・・「例年よりは少ないか。」」
息のあったコンビプレー。
「今年はこないかと思っていたんだけどなぁ。」
孝之はぼそっとつぶやく。
高校1年生までは女の子に騒がれるのも悪くないって思っていて
プレイボーイと言われるまではいかずとも女の子と遊んでいた。
だけど、もうそんな事はしないと決めたあの日から
女の子に誘われはしても、誠意ある態度でお断りしていた。
…なのに、何故だ?
「まぁ、なんだかんだいって孝之はもてるのよ。」
そう言いつつリサはぽんと孝之に包みを渡す。
「お、サンキュ。」
「ううん。」
孝之に、にっと笑いかけるとリサはキョウにも包みを渡す。
…孝之のものより数倍の大きさの包みを。

◆+◆+◆+◆

「会長、どうぞ。」
声をかけられた藍原久司は目を通していた書類から目を離す。
生徒会の女の子達がチョコレートを持っていた。
「いつもお仕事ご苦労様です。」
「ありがとう。」
差し出されるチョコレートを笑顔で受け取っていく。
すると、その中の1人の女の子にある人の面影を感じた。
あの人はバレンタインデー、チョコレートを渡すのだろうか・・・・。
「ちょっと、見に行きますか。」
女の子に渡されるチョコを受け取りつつポツリとつぶやいた。

◆+◆+◆+◆

「みんな、バレンタインおめでと〜!」
高瀬友里は小さな小包をサークルのメンバーに配っている。
本日はドライブのメンバーでのミーティング。
お菓子作りが趣味の友里は男女問わずメンバー全員に
手作りのクッキーを配っている。
「やっぱり、昨日台所の明かり付いていたの、友里かぁ・・・。」
お隣さんの和也は、昨日彼女の家に行った帰りの様子を思い出し苦笑した。
その時だった。
「うっ・・・」
クッキーを食べているメンバーの1人から声が漏れる。
「あ。言い忘れてた。」
爽やかな笑顔で友里は言った。
「5個だけ99%カカオ入りの当たりを作ったから。」
・・・メンバーが静まる。
声を漏らすのは現在2個。残りは3個だ。
さすが友里・・・。和也は苦笑した。そういうのが好きな奴だと。
「た、たかせぇ〜〜!!」
「ははは。大丈夫!死にはしないから。それに5個ずつ入っていて、
一番当たりの数が多い袋も、3つしか入っていないから!ふつうのあるし。」
・・・という事は残りは大当たり(3つも押し付け)の1人か・・って
「そういう問題かっ!」
「?なにやってるの?」
突っ込みと同時に佐川智哉が入ってきた。
今日のミーティングの資料を印刷してきたらしい。
「あ、佐川さん。」
友里はあわててかばんをあける。
「いつもお世話になっています。」
そう言うと他の人たちよりも一回り大きな包みを渡す。
・・・当たり(ある意味はずれだが)が入っていないクッキーの包みを。

◆+◆+◆+◆

「ねぇ・・・。あんた、なんでいるわけ?」
高瀬詩織は目の前の少年に引きつり笑顔で聞いた。
「え?3年生は休みですから。それに僕、大学決まって暇ですし・・・。」
目の前には紙袋を持つ藍原久司。
「生徒会の所要を済ませてきちゃいました。」
「そうかぁ、もうすぐ引退で引継ぎの時期だよね・・・ってそうじゃないでしょ!」
なんでこんな所(自分のバイト先)にいるのかって所だ。
「いや、詩織さんの様子を見に。」
「何でよ・・・。」
「この間、バイト変えたって、もしきたらおごるって言ってましたよ。」
「?そうだっけ?」
久司の言葉に首をかしげる詩織。
確かにこの間偶然遭遇した時、
憧れの店にバイトが決まりテンションが高かった。
・・・言った気もしなくはない。
「しょうがない。ケーキ1つくらいおごってあげるわ。」
やれやれと詩織は最近なれた手つきで店のメニューを広げる。
「じゃぁ、これを・・・」
久司はそう言って一つのケーキを指差した。

◆+◆+◆+◆

「日和、誰に渡すんだろう・・・。」
「俺、もらえるのか・・・・。」
女の子からもらえるチョコがひと段落した頃、
同じクラスの日和を見てぼぉっとする孝之に友人はアフレコしていく。
「おまえらなぁ〜。」
そういいつつも思わずため息が出る。
もうすぐ放課後になる。毎年貰っているといっても、
その様な反応は全くない。まだ、もらえる見込み
「「・・・・ゼロ」」
心の声が読めるのか、親友二人の息のあったプレーに
孝之はがくっとうなだれた。

◆+◆+◆+◆

「ありがとうございました。」
詩織のバイト先であるコーヒーショップで本を読んでいた久司は
店を出る前にテーブルを拭く詩織に言った。
「バレンタインチョコ、ありがとうございます。」
「は?」
不思議そうな顔をする詩織に久司は笑い、そして
「おかえし、しますから。」
そう言うとにこやかに帰っていった。
バレンタインデー
今日は2月14日。
そして奢ったケーキは『ガトーショコラ』
…チョコケーキだ
・・・・・・ってことは
「やられた。」
悔しそうに詩織はつぶやいた。
今回は鈍い自分の負けだ。

◆+◆+◆+◆

「あ、にいちゃんお帰り〜。」
「ただいま。」
帰宅後、孝之は兄の和也に声をかける。
「デートから帰るの早いね。」
「うん。まぁ、昨日もいたし、向こう明日朝からバイトなんだ。」
「ふ〜ん。」
たわいもない話をしている時だ。
ピンポーン
チャイムが鳴り、孝之は玄関へ向かう。
「はい?」
ガチャリと扉を開けた向こうには、
「「「ハッピーバレンタイン」」」
声をそろえて言う中のいい姉妹がいた。
そして中央にいるのは日和。
彼女は孝之が欲していたものを「はい」と差し出して、笑った。


それと同じ頃、友里製作の99%カカオチョコの大当たり(3個入り)に、
機嫌を悪くした博之が、加奈からチョコを貰っただけで機嫌が直ったのは
・・・また、別のお話。

何はともあれハッピーバレンタインディ★

+++++++コメント++++++++
2/14最後の更新はオリジナル主要メンバ出演版。
一応上から時間軸を気にしているのですが、お伝えできたか心配です(−−;)。
とりあえずめっちゃながくなってしまいました;

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