●セリフ5『会いたかっただけだよ』●

「あ。詩織さん。待っていたんですよ。」
そう微笑むのは待ち合わせをしたあいつだった。

『ドーナッツを片手に』
 高瀬詩織VS藍原久司


ども。高瀬詩織です。
私が高校時代の後輩であるこいつと店にいるのは理由がある。
「詩織さんは今日も可愛いですね。」
「はぁ?なにわけわかんない事いっているの」
「なんか、デートの待ち合わせみたいですよね。」
笑顔であいつはそんなことを言う。
「おい・・・」
が、もちろん即座に突っ込みを入れる。
そう。それは別に、色めいた理由でもなんでもない。
「真面目に話聞くつもり無いなら帰るよわたし?」
「すみません。おごりますから。」
私の言葉に慌てたようにあいつは言う。
『是非大学進学に関して話を聴きたいんです。』
あいつからそう連絡があったのはついこの間。
そこで先輩風ふかせるべくあいつと待ち合わせをしているってわけ。
まぁ、あいつも高校3年だし、色々と不安なんだろう。話に乗ってやるか。
そう優しい心を出しつつも、
周囲に何か言われたくないからちょっと遠い店だけどね。
私の話をききつつ相槌を打つあいつ。あいつは聞き上手だ。
男は苦手な私でも話しやすい。…だからこうやって話せるんだけど。
「あ。そろそろ詩織さんバイトの時間ですよね?」
あっと言う間の時間の終止符が、ちらりと携帯を見た私にかかる。
「今日はどうもありがとうございました。今度は大学を案内してくださいね。」
微笑みつつ礼を言うあいつ。了解と言葉を続けつつふとした疑問をあいつにぶつけた。
「てかさ・・・。なんで私に相談しようと思ったの?他にもいるじゃん。適任。」
その言葉にあいつはにっこり笑って口を開く。
「知りたいですか?それは・・・口実ってやつです。」
「口実?」
「本当はただ、会いたかったんですよ。じゃぁ、またっ。」
はぁっ・・・
「意味が解らない・・・」
思わず声を漏らした私を見てあいつは爽やかに笑うとじゃぁまたと去っていった。

あいつは話しやすい奴。だけど少し苦手だ
・・・なにを考えているのかわからない


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年下魔王と強気娘。こういう組み合わせ好きです。
詩織さんは結構男勝りの姉御肌。
そして、藍原くんは正直ハラグロのイメージ。

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