●セリフ33『今度いつ逢える?』●

初めて感じた気持ち
それはあなたにかけられた魔法

『魔法の言葉』<4years ago>
 高瀬友里+森博之


「あ。友里ちゃんじゃん。」
彼に声をかけられたのがきっかけ。

帰り道。ちょっと寄り道をしていた。
本屋で本の吟味をしていたとき、後ろから名前を呼ばれた。
突然の事にびっくりして、思わず声をかけられたほうを見る。
そこにいるのはつい最近知り合った男の子だった。
「えっと…森君…だよね?」
一生懸命名前を思い出しつつ確認すると、
当たりと呟いて彼はにかっと笑った。
「偶然だね。森君も本屋に用事?」
「ううん、友里ちゃんみかけたから思わず入っちゃった。」
私の言葉にテンポよく、森君は返してくる。
…って、
「えっ?」
「冗談だよ。真っ赤になってる。」
森君はそう言っておかしそうに笑った。

そういえば、カズの家であった時もそんな感じで笑っていたっけ。

「参考書買いに来たんだ。一応勉強しないとさ。」
そう言って眼鏡をまじめですと言うようにかけなおすしぐさをする。
でも、その先の目が子供っぽくわらっていて
まじめと言うよりは無邪気で面白い人だなって思った。
「そうなんだ。」
「あ。笑ってる。」
思わず笑ってしまったら森君は私にそう言うとそうだと思い出したように言う。
「友里ちゃん、一緒に選んでくれない?」
「え?」
「よければだけど…。」
彼ともっと話したいなって思った。
気持ちと共に私は頷く。
「いいよ。」

森君の参考書を選んで、
その後マックでずっとたわいもないおしゃべりをして
いつの間にか、彼ともっと色々な話をしたいなって思っていた。

「あのさ、友里ちゃん。」
外が赤から紺色に変わる空。
いいって言ったんだけど森君は私を送ってくれた。
そして家の玄関の前。彼は私に声をかける。
「今度いつ逢える?」
そう言う彼の瞳には私が映っていて
なんだかすごく恥ずかしかった。
なんだかどきどきしている心臓。
「あ、明日…。」
顔が赤くなるのが恥ずかしくて、
なんだか、自分がおかしいきがして、
うつむきつつようやくそう声を出す。
本当?嬉しそうな森君の声が聞こえる。
「なら、明日。5時にあの本屋で。」
森君はそう言って自転車で走っていった。
私は、彼の背中を見ながら新しい変化を感じていた。

初めて感じた気持ち
それはあなたにかけられた魔法
次の魔法はきっと、明日あなたが言う呪文。
「付き合って欲しいんだ。」

ちなみに、後々から聞いたんだけど
彼もあの時はいっぱいいっぱいだったみたい。
自分の事で精一杯でそんな事気づかなかった。


*********comment*******
友里と博之、付き合うちょっと前。
始めて好きな人が出来て始めてデートした時イメージ。
もっと長くかきたかったけど、長すぎてもあれかなと。
博之は話術匠。女の子と話すのはうまいです。
でも、恋を始める女の子はちゃんと好きな子だけ。
遊び感覚だけど、誰でもいいってわけじゃない。
ただ、恋に対してどこか本気になれない男


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