●セリフ32『俺には関係ない』●
君の幸せそうな表情を見て
もう一年以上がたつ
それは、僕には向けられない表情
『見守る心』<3years ago>
羽住和也→高瀬友里
それは、ふとした会話だったんだ。
「博之、元気でやってるかなぁ。」
「え・・・?」
帰り道、俺と友達のユウと彼女。
偶然一緒になった3人での会話で俺の友達、ユウが何気なしに発した言葉。
「…ヒロ君、何かあったの…?」
それに対しての彼女の驚き様は正直、意外だった。
「え?友里ちゃん聞いてないの?あいつ、一週間前に引っ越したんだよ。」
「そうなんだ…。私、一週間前に別れたから…。」
ユウの言葉に彼女は苦笑している。
その笑顔は無理しているってすぐにわかった。
「そうなんだ…。」
別れたってことは俺はヒロから聞いていた。
だけど、引越しの話を言っていないのは意外だ。
あいつ絶対にそういう話していそうだったのに…。
ふと、そんな事を考えていた時、
一週間前に親友に言われた言葉を思い出した。
あいつが、あんな言葉を言った意味がようやく解った。
「あいつら、別れてたんだ。」
友里とわかれてから、俺の部屋にきたユウはそう呟いた。
「何だかんだで仲よさそうだったんだけどなぁ。」
「遠距離になるし、なんかあったんだろうね。」
そう言う俺にユウは冷たいなとぼやく。
「和也、チャンスじゃん。傷心の友里ちゃんなぐさめてさ…。」
「俺には関係ない。」
ユウの言葉に簡潔に答える。
それは無理をして冷たくしているような言い方。
「え?だって、お前友里ちゃんずっと好きだったじゃん。」
「関係ないよ。あいつらの問題だし。」
和也、何怒ってるんだよ。
ユウが不平をもらす。
だって、関係ないんだ。
気づいているから。
幼馴染の自分が彼女にとっては
「それ以上」の存在になれない事を。
気づいてしまったから。
1年前、彼女が見せてくれた幸せな表情で。
「無理だよ…ヒロ。」
「カズ、あいつをささえてやってくれよ。」
引っ越す直前に言われたあいつの言葉。
どこか恋愛を遊んでいたあいつの、
すっごくまじめな言葉。
「俺にはあいつ、もったいねーよ。」
親友のお前はそう言うけど、
彼女にとってはお前しかいないんだよ。
「バカヤロー。」
思い出してちいさく言葉を漏らした。
君の幸せそうな表情を見て
もう一年以上がたつ
それは、僕には向けられない表情
僕は見守るしか出来ない表情。
だから、僕は誓う。せめて君を支えるよ。
君があの表情を再び見せる人が出来るまで。
*********comment*******
和也→友里→博之。
好きな子が振られたから自分が・・・
和也少年はそんな子じゃないのです。
一方、ユウはそういうのもありかなって子
俺は、見守るしかない。
そう、決意を固めた少年…けっこう傷心時代です;
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