●セリフ24『あとどの位?』●

いつも君を見るたびに心の中でつぶやいていた
「あとどの位?」
あとどの位耐えれば俺はいいんだ。
先の見えない道の先に押しつぶされそうになる日を
「あとどの位?」

『先の見えない道』
 羽住孝之+高瀬日和


勇気が出ないことで悩んでいた。でもきっかけは突然だった。

放課後。俺は顧問の先生に頼まれて備品の整理をしていた。
「なぁ、孝之。」
一緒に整理していたキョウが俺を手招きする。
その視線の先にいたのは…あいつだった。
「なんでこんなところいるんだよ。」
人気のないところで立っているあいつに声をかけそうになったとき
その理由がわかった。
「高瀬さん。来てくれたんだ。」
そう言ってやってきたのは俺も知っている3年生の先輩で
顔がかっこいいとかで騒がれていた。
そいつは日和に向き合うと真剣な顔をあいつに向けた。


「孝之〜、なんか最近、機嫌悪いねぇ。」
あの日…つまり日和が告白されている現場を見た以降
俺は日和を避けていた。
…だって、知らなかったんだ。
『ごめんなさい。』
あいつがそう告げ、去っていく時にみせたあの表情を。
「私、なんかしたっけ?」
1人でうなりながら考えている。
…いや、お前にびっくりしたんだ。
心の中で返事を返す。

あんな大人びた表情、いつからするようになったんだ。
俺の知らないところで日和は変わっていく…。
そして、俺はそんなあいつをいつまでまてばいいんだ。
俺が知らないところで成長しているのにどうやって?
俺はあいつの事を全部わかっているつもりでいたのに
・・・これじゃぁ俺はピエロだ。

頭の中でぐるぐると考えていた時だった。
「孝之〜。」
目の前にある日和の顔。それを見て無意識に口が動いた。
「俺、お前の事好きだから。」
考えもせずにさらりと出てしまった言葉。

数秒後、冷静になり恥ずかしさのあまり撤回しようかと慌てる。
そしてあいつは、少しきょとんとした後、笑顔で俺に言った。
「…うん。私も孝之も和也にぃも大好き。」

残酷な程満面の笑顔を僕に向ける君。
俺はそのいつも向けられる笑顔に…凄く苛立ってしまった。

「…俺は、そんな好きが欲しいんじゃない。」
「孝之〜?」

つぶやいた俺の言葉にあいつは聞こえなかったのか首をかしげる。
その無防備さに苛立ちと焦りが現界になった。
誰の前でも無防備で、いつさらわれるかわからないから
いつ目覚めるかわからない君は危なっかしかったから。
早く君を僕でいっぱいにしてしまいたかったんだ。

ついに僕は君を後ろから抱きしめて耳元でつぶやいた。
それは、ずっと我慢していたこと。
「これでもそういう事だと思う…?」


びっくりして君は僕から離れた。
その時の君の表情は今まで見たことない顔だった
わかっていた。でももう耐えられないんだ。
「あとどの位?」
そうつぶやく夜に。

*********comment*******
ついにかいちゃいました。孝之告白。
いつくらいにするか本当に最初から迷っていました。
1年以上の片想いがついに破裂する感じで
ま、まったく青春くさくないですね…なんだかドロドロ?
でも、高校生くらいの男の子が好きな女の子近くにいるのに
理性保って思いも告げずに見守るだけ
…わたしは結構辛い事だと思いました。
だから、ついに泥のふたを開けた感じです。
もっと、爽やかな恋愛期待していた方すみません;

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