●セリフ22『気づいてたんだ』●

幼い頃から仲がよくって
だからこそ見えるものがあるのかもしれない

『テスト週間後のヒトコマ』
 羽住孝之+高瀬詩織


「あ、孝之じゃん。」
声をかけられてみる先にいたのは知った顔だった。
「詩織ねぇ」
高校を卒業して久々に見る詩織ねぇは・・・全く変わっていなかった。
「なんでこんなところいるんだよ。」
高校に堂々といる詩織ねぇに最もな言葉をかけると、
生徒会の顧問に用事があってという答えが返ってきた。

「ふ〜ん。」
そうなんだと答えを返すと
「そういうあんたは、部活の合間に日和見てるわけ?」
やれやれと言う目で見て詩織ねぇは言う。

・・・って、
「気づいてたんだ」
まぁねぇ。と詩織ねぇは言って笑った。
「チビの頃から見てりゃわかるわよ。」
にやにやしながら言う。
「そう…。」
俺は日和が好きだ。
この間なんて思わず気持ちを言いそうになった。
まぁ、俺は怖気づいて結局いえなかったんだけど。
でも、なんとなく雰囲気でわかんないのか?
俺は同じ状況になった事何回かあるけど気づくぞ?
…なぜあいつは気づかないんだ。
あの時以降も、まったく態度が変わっていない!


てか、そういう考えは責任転換だよなぁ…
思わずため息をつく。
「まぁ、気長にがんばれば?見守ってやるし。」
そんな僕に詩織ねぇはそう言って余裕のある笑顔を見せた。
そう見ると、やっぱり大学生って大人だなぁとおもう。
・・・たとえ、詩織ねぇだとしても。

「・・・ちょっと、今何か考えたでしょ。」
僕の考えに気づかれたのか
詩織ねぇが大人からいつもの調子に戻るのはすぐ後。

*********comment*******
孝之と詩織。姉と弟分な関係です。
さばさばしているので悩みも言いやすい姉貴分。
詩織は和也や友里よりも1つでも年が近いので
2人の高校生の頃も見ているという裏設定。

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