●セリフ18『興味ない』●

彼とのあの日々を思い浮かべる
その度にうかぶ彼の笑顔。
そして、この感情は何?

『背中。』(1years ago)
 高瀬友里+森博之


何故なんだろう。
彼を見るとあの頃の彼の面影を探している。
あの頃のような幸せな気持ちがでてくる

このきもちは・・・・・・?

どうも。高瀬友里18歳、もうすぐ19になります。
実は最近、悩んでます。
「高瀬〜。」
「ん?ヒロ君。」
それはこの男、ヒロ君のせい。
「土曜のサークル、お前と俺ペアでいい?カズも加奈も行かないらしいし。」
「う、うん。いいよ。」
サンキュ。そう言うとヒロ君はバイトがあるからと帰っていった。

ヒロ君。本名森博之。それは私の親友加奈の彼氏で私の友達。
・・・そして、高校生の時の私のモトカレ。
高校時代も仲が良かったし、最近ではいい友人関係を
作れているって思っていた。
なのに、何故か最近、変な感情が湧き出てくる。
・・・その原因は謎。

「あれ、高瀬。」
バイトの帰り際、呼び止められる。
「ヒロ君。」
それは、バイト帰りのヒロ君。
「お前も今バイト終わり?早いのな。」
「今日は、3時間だけだったから。」
「そっかぁ。あ、遅いしよければ送るよ。」
彼は携帯でメールを送り、私に笑いかけた。
多分加奈に送っていくから少し遅れると連絡したのだろう。
そんな彼の行動は、あの頃を思い出すのに十分だった。
だから、帰り道思わず口が動いていた。

「ねぇ。」
「なに?」
「もしも、別れてなかったら…とか考える?」
「なにそれ?」
「だから、あの時別れずに今も付き合っていたら・・・とか。」
例えだけどね。
そういう私に彼は予想外の行動を…ため息をついた。
「なぁ高瀬、そういう話やめようぜ。興味ないし。」
「・・・え?」
どんな答えが返ってくるかなんて考えてもいなかった。
あの頃の彼のように笑いながら答えると思った。
でも、彼の態度は違った。
「だって、そんな事いったってもどれるわけでもないし、
 もしもなんて架空の話でしかないじゃん。」
「そ、そうだけど…。」
「変なこといった?」
「ううん。」
不思議そうなヒロ君に首を振る。

首を振ったけどヒロ君は変なことを言ったのかもしれない。
だって、ヒロ君が別人に見えてしまったんだから。
そんな私を気にせず、ヒロ君はそれに・・・と言葉を続けた。
「そんなこと考えないしな。
 俺は今、加奈に出会えたのが一番嬉しいし。」
「ちょっとぉ、のろけじゃん!」
嬉しそうに笑うヒロ君にいつものようにおいおいと笑って突っ込んだ。
・・・でも、なんだか寂しかった。
なんだか辛いって思った。
それは、一体何故なんだろう・・・。

帰り道。
まだ梅雨に入らない空は星がきらめいていた。
その下にいる彼の背中を眺めて
なんだか涙が出そうになった。

**********comment*********
思い出にもしもをつけてみる友里
今の変わっていく自分をみている博之
2人の意識の対比を出したかったです。
そして、前の話からの元カレカノ、次で決着つけます><

*back*