●セリフ15『ケーキ作りたい』●

恋ってどんな気持ちなのかな
私にはいつ訪れるんだろう。

『恋したいお年頃』
 高瀬日和+高瀬友里+羽住和也


「・・・カズ。ここの粉、多いんだけど。」
「えっ、友里が『3回ぐらいで』って言っただろ。」
「いや、この1回目の分量あきらかに3回で入れる量じゃないでしょ!」
目の前の台所でそんなやり取りをするのは友里ちゃんとお隣の和也にぃだ。
私は、高瀬日和。高校2年生です。本日は日曜日。
特に予定もない休日だし、
私は遊びに来た和也にぃの奮闘振りを漫画を読みつつ見物している。
何でも、和也にぃは彼女さんのためにケーキを作ろうと思ったらしく、
お菓子作りが得意である友里ちゃんに教わっているのだ。
和也にぃ、いい彼氏だなぁ。


「やっとここまできたかぁ〜。」
どうにか焼きの工程に入ったらしく、友里ちゃんがオーブンを覗いてほっとする。
「友里、サンキュ。」
「いいよ。彼女の誕生日に驚かすんでしょ?練習くらい付き合うって。」
和也にぃの言葉に友里ちゃんはそうにかっと笑いつつ答える。
そんな、和也にぃと友里ちゃんみていて思わず言葉が出た。
「私も、ケーキ作りたいな。」
「・・・日和も一緒に作る?」
その言葉に反応する友里ちゃん。・・・って、
「そういう意味じゃなくって、好きな人のために何かするっていいなぁって思って。」
そう。和也にぃや、他の子見ていても思う。
どんなに真剣にしていても、
彼女の事が出るとすごく嬉しそうだった。
好きな人を思い浮かべているのか幸せそうに笑っていた。
その感情ってどんなかんじなのかな。
私には、いつ来るんだろう・・・。玉に不安になる。
みんなには来ているのに私には来ないんじゃないかって。
「大丈夫だよ。ヒヨちゃん。」
和也にぃが笑って答えた。
「人によって、ペースがあるものだから。
 今来る人もいれば、もっと後から来る人もいる。
 でも、絶対にいつか誰かに抱く感情だと思う。
 ・・・ヒヨちゃんもね。」
「和也にぃ・・・。」
「それに、焦ったって答えは見えないんだから、
 ヒヨちゃんはヒヨちゃんのペースで行けば大丈夫だよ。」
和也にぃはそう言って笑った。
なんだか、言われたい言葉を言ってくれた気がした。
「うん。ありがとう。」
心が軽くなった気がした。
「大丈夫、私も和也も日和のマイペース見守っているから。
 また、不安になったらいいなね。」
友里ちゃんが私にそう言ってにっこり笑ってくれた。
「久々に、友里が姉らしい事言うの聞くなぁ。」
「あ、確かに・・・。」
「ちょっとぉ。二人とも!」
友里ちゃんがそう慌てて言う言葉に思わず笑顔になった。


人を好きになる事が素敵な事だって知っている。
焦ったって、仕方ない事だって知っている。

だから、私は私らしく歩いてく。
見守ってもらえるらしいしねっ。


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恋をしていないヒヨちゃんの話。
恋に憧れるし、みんなしている
私おかしいのかな・・・みたいな。
高校生くらいだと焦ると思います。
カズはヒヨちゃんにとっていいおにいちゃん的存在です。
そして、カズはヒヨちゃんを妹同然だと思っています。

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