●セリフ10『おつかれさま』●
その笑顔にほっとする。
暖かい陽だまりの貴方
『部室と君と微笑みと』
高瀬友里+佐川智哉
「う〜ん・・・。この文章微妙かなぁ?」
ぼやきつつもパソコンをカタカタさせる。
そんな私、高瀬友里19歳は現在サークルルームの隅っこを陣取っている。
私の所属する大学サークル「ドライブ」は
簡単に言うと『みんなで遊ぼうぜ』という言葉をそのまま形にしたようなサークル。
主な活動内容は「取材」と「原稿」。
いろいろな場所へサークルの有志メンバーで出かけて、
その土地を取材したり、遊んだり。
そして、その感想やレポート、コメント、などを原稿にまとめ、
タウン情報誌のような薄い冊子にして、お店に置かせてもらっている。
雑誌編集に興味のあった私は、加奈、和也を誘って入部。
・・・まぁ、おくれて加奈がいるからヒロ君も入部して、顔なじみが多いサークルとなった。
で・・・。ついに2年生になって、初めて1人で原稿書かせてもらっているんだけど・・・。
まぁ、横で見てもらいつつ自分で書いたことも1年生の時もあったし、
先輩に後でチェック入れてもらうんだけど。
・・・緊張だわ。やっぱ初仕事気分。
てか、1人で読み返すと微妙な気がする。なんだか、おかしい。
・・・気分転換に雑談したくても、今日は来ないのか、
それとも取材(お出かけ)にいっているらしく、
加奈も和也もヒロもいない。先輩もほとんど出払っている。
…現実逃避したい。〆切前の作家ってこんな気分なのかな?
「よっ、すすんでる?」
声がかかる。見上げる先には優しそうに笑う顔がある。
「佐川さん・・・。」
1つ上の佐川さん。サークルのリーダー。
1年生の時から私の世話を焼いてくれていて、お世話になっている先輩だ。
辛い時にもきちんと話を聞いてくれる頼れる先輩だったりする。
「それが・・・。さっぱりです。」
「まぁ、気負う事ないんじゃないの?」
落ち込む私に、いつもの調子で言葉をかけてくれる。
「いつもの調子でやればいいよ。
最後に俺がチェックするし。楽しくやるのが一番だから。」
そう佐川さんは言うとサークル共同の冷蔵庫から出したお茶をことりと置く。
「・・・2杯も飲むんですか?同じコップに注げばいいのに。」
「ひどいな。これ、高瀬の分・・・のよていだけど?」
私の言葉にそういって笑う佐川さん。
この人のそういうところは本当に憧れる。
些細な気遣いが出来て、そして穏やかな春の日差しのように笑う。
優しく、時に厳しく、人を思いやってくれる。
きちんと人を見ていて、思いやりがあって、頼れて・・・。
自然に人が集まる。私も、助けられた事が有る。
私にとって、この人は私の目標で憧れだ。
大人なのにどこか無邪気な子供みたいで・・・。こんな人になりたいな。
「ありがとうございます。」
「おう、配達料1000円」
「高っ!」
感謝する私にさっきの微笑よりもやや、いたずらっ子の様な笑みを浮かべて
佐川さんはにやりと答える
・・・前言少しだけ訂正。褒めすぎたかも。
からかい癖は憧れ…てはないかも。
おもしろくて、すきなんだけど
なんだかんだで、佐川さん、
私をからかうの好きだし、言葉巧みで負けるし・・・。
まぁ、そういっても一緒にいて楽しいし、やっぱり好きな先輩なんだけど。
・・・やっぱりさっきのはほめすぎかもなぁ。
「?高瀬?」
ニヤニヤしている私に首をかしげる佐川さん。
「ありがとうございます。」
とりあえず、同じく笑顔で言葉を返してみた。
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前の話(久司と詩織)とさり気なく対比。先輩後輩の間2.
大人だけどどこか子供っぽい先輩。
憧れで、そうなりたいって思える存在。
その気持ちは恋へとつながるのでしょうか
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